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きのこ栽培ドットコム

菌床たもぎたけの栽培方法

図1.菌床栽培されたたもぎたけ(空調施設型菌糸ビン栽培)

この記事ではたもぎたけ(学名:Pleurotus citrinopileatus)の特徴や栄養成分、機能性をはじめ
菌床を使用した菌床たもぎたけの栽培方法が分かります。
栽培後の廃菌床の利用についても記載しております。

たもぎたけの特徴

きのことしての特徴

ひらたけ科ひらたけ属のきのこで英名【ゴールデンオイスターマッシュルーム(オイスターマッシュルームはひらたけの事)】とも呼ばれる。
ニレやカエデ等の広葉樹の倒木などに発生する木材腐朽菌である。
ヤチダモ(タモノキ)に生える事からたもぎたけと名付けられ北海道の一部地域ではニレタケやタモキノコと呼ばれる事もある。(諸説あり)
分布は日本をはじめロシアや中国北部に自生しの比較的北方に分布しています。
北海道では比較的ポピュラーな食材として扱われるが本州以南ではその見た目の奇抜さ故あまり普及しておりません。
人工栽培は1960年代から始まり現在では本州でも生産者が増え始め後述する機能性も含め今後の普及が期待されております。

利用・栄養・健康

たもぎたけは生鮮品として栽培されている他ひらたけ科のきのこ全般にみられる棚持ちの悪さから流通を考慮し加工品での販売も多くみられます。
とても上品な出汁が出る事から汁物やうどん・そばに使用すると大変美味しく食べることが出来ます。
加熱すると肉質が引き締まり歯切れの良い印象です。
調理例:天ぷら・炊き込みご飯・味噌汁・きのこうどん・きのこそば等

きのこ類全般に言える事ですがカロリーは低く水溶性食物繊維が豊富
特にうま味成分グアニル酸・アスパラギン酸・グルタミン酸が豊富
エルゴチオネインというアミノ酸の一種が含まれており抗酸化作用による美肌効果(アンチエイジング)や活性酸素による認知症予防やアルツハイマー病の予防効果が期待されております。
調理に使用する前に日光に10分程度当ててから使用する事で更にビタミンDが増加します。
たもぎたけは摂取する事で血圧上昇抑制作用や抗腫瘍作用がある事が報告されています。
(上記は動物実験の結果を含むもので人体に必ずしも効果があるわけではありません)
健康維持や美しさの秘訣に積極的に食べたいきのこ類の一つとも言えるでしょう。

摂取の目安としては一日100g~150gとしきのこ類の大量の摂取は腹痛や下痢の原因になるので控えましょう。
一度に大量に摂取するよりも日々継続して摂取する事が大切です。

栽培方法の種類

空調型菌床栽培

本記事では空調型菌床栽培について解説していきます。
主原料となるオガと副原料となる栄養体をPP製ビン容器又はPP/PE製栽培袋に充填しエアコンや超音波加湿器、吸排気装置を利用しきのこ栽培に適した環境を年間通して再現した室内で栽培する方法でたもぎたけ栽培の多くがこの方法を利用しております。
※PP(ポリプロピレン)PE(ポリエチレン)

露地型短木栽培

短くカットされた丸太にたもぎたけ菌を接種し四季の温度変化を利用した栽培方法になります。
詳しくは別記事で解説します。

空調型菌床栽培の方法

菌床栽培

殆どの菌床栽培は以下(充填~収穫)までの6工程で行われます。
栽培に適したオガの選定から最適な収穫タイミングまで
各工程のポイントを解説していきます。
栽培時にお役立ていただければ幸いです。

充填

培地の基材(主原料)は広葉樹のオガ粉が基本となります。
たもぎたけは栽培日数が25~40日程度と極端に短く培地基材(主原料)よりも添加栄養体(副原料)の影響の方が大きいともいえるきのこです。
本項に記載している栽培方法が必ずしも正解ではなくあくまでも一つの例として捉えてください。
培地基材としてはその他、針葉樹オガ・バガス・コーンコブミール・ビートパルプ・クマイザサ等が使用できます。(いずれも粉砕した物で針葉樹おが粉やバガスは散水堆積され成長阻害物質がある程度抜けた物が好ましいです。)

オガ粉の粒度は2~5mm程度が好ましく細かすぎると発生に影響が出る為充填圧力を弱めにするなど工夫が必要になります。

培地栄養体(副原料)は米ぬか・ふすま・精選ふすま・ホミニフィード・乾燥オカラが一般的に使用されます。
主原料に対し副原料は乾燥重量比10%~20%程度になる様に添加します。
(2.5kg菌床ブロック1個に対して副原料が200g~300g程度が標準です。)
たもぎたけの培地づくりはひらたけ栽培に用いる培地と同様で構いません。
副原料の影響を受けやすい為15%~20%程度混合したほうが収量が多くなる傾向にあります。
また、針葉樹のオガを使用する場合消石灰を0.1~0.2%添加する事が有効とされています。
フスマを副原料として使用する場合使う種菌の品種によりきのこの形状が漏斗状になるので使用品種に合った副原料の選定が必要になります。
米ぬかは品質劣化が著しい為新鮮なうちに使い切れるようにしましょう。

主原料と副原料を攪拌機でよく混合した後、加水を行います。
水分率は約60~70%程度に調整します。
水分率が比較的高めの方が栽培期間は短縮できますが培地原料や使用品種、後の栽培環境にも左右されますので65%程度から始める事をオススメします。

図2.攪拌機の様子

水分率は加熱乾燥式水分計を使用する事でおおよそ正確な値が出ます。
培地を手のひらで握って水分が出てくる程度が好ましく慣れてくれば計測器を使用しなくてもおおよその水分率が分かるようになります。
毎回チャレンジしてみて感覚がつかめるように練習してみましょう。

培地の調整が完了したら速やかに栽培袋や菌糸ビンに充填します。
調整後は基材の劣化が進行し気温(室温)が高い場合2時間ほどで基材から発酵臭(甘い香り)がしてきます。その後の栽培に悪い影響が出ますので培地の調整は必ず充填の準備が整ってから行い迅速に充填作業を行ってください。

栽培袋は通気用フィルターの付いたPP又はPE製の耐熱袋を使用します。
菌糸ビンはPP製850㏄58口径の物を使用します。

充填の際には菌糸の蔓延を促すために接種孔を空けますが、運搬時に接種孔が崩れないように注意しましょう。

図3.2.5kg菌床ブロック接種孔
図4.850㏄58口径菌糸ビン接種孔

充填が完了した後栽培袋は口を折りこみ、菌糸ビンは専用のキャップで蓋をし殺菌工程へ移行します。

殺菌

培地の充填が完了したら速やかに殺菌工程に移行します。
殺菌工程では高温で迅速に殺菌する事が求められます。
常圧殺菌機でも殺菌する事は出来ますが高圧殺菌機を使用する事をおすすめします。
本項では蒸気ボイラーを使用した高圧殺菌機で殺菌する事を中心として記載いたします。
殺菌は昇温工程と殺菌工程に大別されます。

昇温工程

培地内の温度を100℃まで上昇させます。
殺菌機内部の温度が100℃まで上昇しても培地中心部の温度が100℃に達するまでにはタイムラグがある為殺菌機内の温度が100℃に達した後に100℃を保持する必要があります。
また、常温から100℃まで一気に上げてしまうと培地が劣化してしまう為50℃・75℃・100℃の様に段階的に昇温すると良いでしょう。
培地の大きさにもよりますが中心部まで完全に昇温が完了するまで2~4時間程度かかります。

殺菌工程

100℃まで上昇した培地を120℃(118℃)まで上昇させて滅菌します。
培地中心部の温度を120℃まで上昇させた後約30~60分ほど保持する事で培地内の微生物のほとんどを死滅させることが出来ます。
上記条件が満たされないと芽胞を形成する一部の微生物が残ってしまったりするので殺菌不良に繋がります。
殺菌不良を起こすと以後の工程の意味をなさなくなるだけでなく培養室や発生室に雑菌を持ち込む事となり汚染の原因になるので殺菌工程は非常に重要となります。

殺菌工程は高圧殺菌で5~6時間程度・常圧殺菌で9~11時間程度を要します。
夏季冬季で培地の温度、外気温が異なるので時期によって殺菌時間を見直すことも必要でしょう。
殺菌終了後は殺菌装置から速やかに取り出し以後の放冷工程に移行します。

放冷

放冷工程では加熱殺菌した培地を菌を接種できる温度まで冷却します。
高温の培地に菌を接種してしまうと菌が死滅してしまうので20℃程度まで速やかに冷却します。
冷却施設内の空気は清浄フィルターを通した清潔な空気が適しています。
培地を冷却する際に袋の折り込み部や菌糸ビンのキャップの隙間から空気が入るので雑菌の多い室内で冷却を行うと汚染されてしまう可能性があるので注意しましょう。
加えて過剰な急冷を行うと培地が固くなり後の培養に影響が出てしまいます。
汚染の主たる原因になるカビ菌等は30~40℃程度が旺盛に繁殖するのでこの温度帯を速やかに抜ける事の出来るように冷却してください。

図5.放冷工程

接種

接種は施設・機械・作業者すべてが清潔な状態でなければなりません。
施設・器具の消毒、防塵服の着用、空気の清浄化等は全てのきのこ栽培における基本となります。


種菌ビンの取り扱いにも気を付けましょう。
種菌ビンは接種前にアルコール消毒、火炎滅菌を行いキャップを取り外したら接種終了時までビン口を下に向けて取り扱いを行います。
これは空中のカビ菌が地球の重力によって落下する為、落下してきた汚染源が種菌ビン内に入ることを防ぐ役割があります。

種菌ビンのキャップを開けたらビン内の原基部を滅菌したカギ棒等で取り除きビン口及びビン肩を火炎滅菌し接種に使用します。
接種量の目安は【850㏄ビン10ml~15ml程度】【2.5kg菌床ブロック20~40ml】程度が適正です。
接種孔に満遍なく接種する事で菌床内の菌糸の成長が良好となります。

培養

培養室の環境条件

培養は温度20℃~22℃・湿度70~80%・二酸化炭素濃度1500ppm~3000ppm・暗黒条件下にて行います。
断熱性のある設備でエアコンや超音波加湿器を使用して環境を整備しましょう。
培養中に二酸化炭素量が上がりすぎると培養途中に原基が形成され袋内又はビン内で変形し収量低下につながるので二酸化炭素濃度は低めに管理する事が好ましいです。
夏季や冬季は外気を直接取り込むことによる急激な温度変化が起こるのできのこ栽培用の熱交換器などを使用して熱損失を防ぐことも重要となります。

発熱と共に菌の呼吸量も増えますので呼吸量に応じた換気が適時必要になります。
培養室の超音波加湿器は水垢等により雑菌の温床となりますので定期的な清掃が必要です。

培養室内は常に清潔を心がけ培地カス等が運搬用コンテナ等に付着し培養室に運ばれることが多いのでこまめな清掃が必要です。
培養室内に培地カスなどが残るとダニやきのこバエが発生し雑菌を菌床へと運んでしまう原因になります。
また、汚染された菌床を培養室内に残置してしまうと汚染された菌床そのものが汚染源となりますので
汚染された菌床は発見し次第培養室の室外に運び処分しましょう。

図6.きのこ栽培用超音波加湿器

芽出し

培養開始から2~3週間程度で菌糸が培地内に蔓延し原基(きのこの芽)を形成し始めます。
培養期間と芽出し期間が被ってしまわないように使用する培地と種菌(品種)、栽培環境の見極めが必要となります。

専用に芽出しの管理室を設ける場合は温度16~20℃湿度80~90%二酸化炭素濃度1000~1500ppmとし、光源は作業中の蛍光灯の照明程度で十分です。
菌かき(培地表面をそぎ落とし原基形成の形をよくする方法)は特に必要ないがぶなしめじやひらたけ栽培と同様の方法で行っても構いません。(饅頭型及びぶっ掻き型)
菌かきを行った場合ビン口に注水し1~2時間程度置きその後排水し原基形成を促します。
原基が形成され始めたらビンのキャップ部を浮かせるなどして原基がつぶれないように管理します。
※キャップを浮かせることによって原基形成の【空間の確保】・【保湿】・【風よけ】の効果があります。

図7.たもぎたけ原基形成の様子1
図8.たもぎたけ原基形成の様子2

発生


発生室の環境は温度16~20℃・湿度80~95%以下・二酸化炭素量700~1500ppm以下照度400lux程度の環境を作ります。
秋の早朝に似た環境づくりが適していると言えるでしょう。
照明は蛍光灯又はブラックライトなどの光を照射しましょう。
光が当たる事でたもぎたけ特有の黄色が濃くなる効果があります。
二酸化炭素濃度が上昇しすぎると傘が漏斗状に変形してしまう事がありますので十分な換気が必要となります。
品種にもよりますがたもぎたけは比較的高い温度帯(10~25℃)でも成長できるきのこです。
高い温度帯で管理すると原基形成は早める事が出来ますが、培地内に菌糸が蔓延しきる前に発生を迎えてしまいますので菌糸が蔓延しきるタイミングに原基形成が行われる最適な温度帯を各環境で模索してみてください。

図9.原基形成後成長途中のたもぎたけの様子

発生室は培養室と同様に常に清潔を保ってください。
特に後の収穫作業を伴うので培地カスや収穫されたきのこの残渣が発生室に残りやすく発生操作中の汚染源になったりきのこバエの発生に繋がるのでしっかりと取り除くことが重要です。

図10.収穫直前のたもぎたけの様子

収穫

いよいよ収穫となります。
栽培品種や栽培環境にもよりますが、菌床作成から概ね25~30日程度で収穫となります。
収穫の目安は傘の中心部がくぼみ傘の直径が2~3㎝程度になった頃がベストなタイミングです。
たもぎたけの傘は非常に脆く簡単に崩れてしまうので子実体(きのこ)の根本の部分から優しく収穫し、培地部分が残らないようにカットしてください。

収穫量の目安は2.5kg菌床の場合300~400g程度・850㏄菌糸ビンの場合80~110g程度です。

たもぎたけの菌床は収穫後速やかに発生室から取り出します。
たもぎたけは成長が早いきのこなので2回目の発生も可能ですが収量は1回目の発生よりも大幅に減少する為新たな菌床を用意したほうが適切と言えるでしょう。
廃菌床は害虫や雑菌が発生しやすく発生操作中のたもぎたけに悪影響を及ぼすので発生室に残置しないようにしましょう。

廃菌床の利用

たもぎたけの廃菌床にはいくつか利用方法があります。

1.菌床を粉砕し畜産動物の飼育舎の敷材として活用

2.粉砕し散水堆積を行い堆肥化

3.粉砕し散水堆積を行いカブトムシ等の昆虫飼育用の餌化

4..粉砕し田畑へそのまま漉き込む(炭素循環農法)

5.粉砕・乾燥・ペレット化によるバイオマス燃料への利用

おわりに

たもぎたけは成長も早く非常に味の良いきのこである。
しかしながら成長の早さが逆にあだとなり常温では品質の保持が難しい。
これはきのこは菌糸の集合体であり子実体の収穫後もきのこそのものが生きている為である。常温においてしまうとたもぎたけから白い菌糸が出てきてしまいます。
これは気中菌糸と呼ばれるものでたもぎたけが次なる栄養素を探して腕を伸ばしている状態です。
たもぎたけは冷蔵庫の様な低温化に置く事で活動が静穏化し食材としての品質を保つことが出来ます。
収穫後は迅速に低温下で保存してあげてください。
今後たもぎたけというきのこがより多くの方々に知っていただける事を心より願っております。

最後までお読みいただき誠にありがとうございました。

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