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きのこ栽培ドットコム

菌床舞茸の栽培方法

図1.菌床栽培された舞茸(空調施設型菌糸ビン栽培)

この記事では舞茸(学名:Grifola frondosa)の特徴や栄養成分、機能性をはじめ
菌床を使用した舞茸の栽培方法が分かります。
栽培後の廃菌床の利用についても記載しております。

舞茸の特徴

きのことしての特徴

所謂きのこ型(椎茸やシメジのような形)のきのこではなく扇状の傘を形成するきのこです。
香りや歯応えの良いきのこで天然品・栽培品問わずファンの多いきのこです。
天然品はなかなか発見する事が出来ず幻のきのことされてきました。
それゆえに見つけた者が喜び舞い踊ってしまうほどという事から【舞茸】と呼ばれたと言われています。(諸説あり)
分布は日本をはじめヨーロッパ・アメリカ・アジアの温帯以北に広く分布しています。
冷涼な環境を好む木材腐朽菌で広葉樹(ブナ科樹木等)の大径木の根元に発生します。
人工栽培は1970年代から始まり1980年代には施設型栽培が普及し大量に生産されるようになりました。

利用・栄養・健康

舞茸は生鮮品目として幅広く利用されているが乾燥品も比較的高単価で流通しております。
芳醇な香りと濃い味で和洋中幅広い料理に利用されています。
油分・乳脂肪分を調理に用いると非常に美味しくなります。
調理例:天ぷら・炊き込みご飯・中華炒め・リゾット等

きのこ類全般に言える事ですがカロリーは低く水溶性食物繊維が豊富
特にビタミン類・カルシウム・ミネラル・亜鉛・ナイアシン・ビタミンB1・ビタミンDを多く含み
調理に使用する前に日光に10分程度当ててから使用する事で更にビタミンDが増加します。
β-グルカンや舞茸Dフラクションが免疫に作用し様々な効果があるとされ癌患者への小規模実験ではNK細胞を刺激する事が報告されています。
舞茸は摂取する事で血糖降下作用がある事が報告されています。
(上記は動物実験の結果を含むもので人体に必ずしも効果があるわけではありません)
健康維持やダイエット中に積極的に食べたいきのこ類の一つとも言えるでしょう。

摂取の目安としては一日100g~150gとし大量の摂取は腹痛や下痢の原因になるので控えましょう。
一度に大量に摂取するよりも日々継続して摂取する事が大切です。

栽培方法の種類

空調型菌床栽培

本記事では空調型菌床栽培について解説していきます。
主原料となるオガと副原料となる栄養体をPP製ビン容器又はPP/PE製栽培袋に充填しエアコンや超音波加湿器、吸排気装置を利用しきのこ栽培に適した環境を年間通して再現した室内で栽培する方法で舞茸栽培の多くがこの方法を利用しております。
※PP(ポリプロピレン)PE(ポリエチレン)

露地型菌床栽培

菌床を野外に伏せこむ栽培方法で四季の温度変化を利用した栽培方法になります。
詳しくは別記事で解説いたします。

露地型短木栽培

短くカットされた丸太に舞茸菌を接種し四季の温度変化を利用した栽培方法になります。
詳しくは別記事で解説します。

空調型菌床栽培の方法

菌床栽培

殆どの菌床栽培は以下(充填~収穫)までの6工程で行われます。
栽培に適したオガの選定から最適な収穫タイミングまで
各工程のポイントを解説していきます。
栽培時にお役立ていただければ幸いです。

充填

培地の基材(主原料)は広葉樹のオガ粉が基本となります。
舞茸栽培特有ではありますが、【廃ホダオガ粉】を使用する場合もあります。
その他ビール粕・コーンコブミール等も使用できます。
樹種はナラ・カシ・シイなどのブナ科樹木が適しニセアカシアやホオノキを使用すると収量減や子実体(きのこ)の形質異常が発生します。
伐採直後の原木を使用したオガ粉を使用すると発生不良に繋がる為注意が必要となります。
オガ粉の粒度は2~6mm程度が好ましく細かすぎると発生に影響が出る為充填圧力を弱めにするなど工夫が必要になります。

培地栄養体(副原料)は米ぬか・ふすま・精選ふすま・ホミニフィード・乾燥オカラ等が一般的に使用されます。
主原料に対し副原料は容積比20%程度又は乾燥重量比10%程度がになる様に添加します。
(2.5kg菌床ブロック1個に対して副原料が200g~300g程度になるようにしましょう。)

主原料と副原料を攪拌機でよく混合した後、加水を行います。
水分率は約60~64%程度に調整します。

図2.攪拌機の様子

水分率は加熱乾燥式水分計を使用する事でおおよそ正確な値が出ます。
手のひらで握ってじんわりと水分が出てくる程度が好ましく慣れてくれば計測器を使用しなくてもおおよその水分率が分かるようになります。

培地の調整が完了したら速やかに栽培袋や菌糸ビンに充填します。
調整後は基材の劣化が進行し気温(室温)が高い場合2時間ほどで基材から発酵臭(甘い香り)がしてきます。その後の栽培に悪い影響が出ますので培地の調整は必ず充填の準備が整ってから行い迅速に充填作業を行ってください。

栽培袋は通気用フィルターの付いたPP又はPE製の耐熱袋を使用します。
菌糸ビンはPP製850㏄58口径の物を使用します。

充填の際には菌糸の蔓延を促すために接種孔を空けますが、運搬時に接種孔が崩れないように注意しましょう。

図3.2.5kg菌床ブロック接種孔
図4.850㏄58口径菌糸ビン接種孔

充填が完了した後栽培袋は口を折りこみ、菌糸ビンは専用のキャップで蓋をし殺菌工程へ移行します。

殺菌

培地の充填が完了したら速やかに殺菌工程に移行します。
殺菌工程では高温で迅速に殺菌する事が求められます。
常圧殺菌機でも殺菌する事は出来ますが高圧殺菌機を使用する事をおすすめします。
本項では蒸気ボイラーを使用した高圧殺菌機で殺菌する事を中心として記載いたします。
殺菌は昇温工程と殺菌工程に大別されます。

昇温工程

培地内の温度を100℃まで上昇させます。
殺菌機内部の温度が100℃まで上昇しても培地中心部の温度が100℃に達するまでにはタイムラグがある為殺菌機内の温度が100℃に達した後に100℃を保持する必要があります。
また、常温から100℃まで一気に上げてしまうと培地が劣化してしまう為50℃・75℃・100℃の様に段階的に昇温すると良いでしょう。
培地の大きさにもよりますが中心部まで完全に昇温が完了するまで2~4時間程度かかります。

殺菌工程

100℃まで上昇した培地を120℃(118℃)まで上昇させて滅菌します。
培地中心部の温度を120℃まで上昇させた後約30~60分ほど保持する事で培地内の微生物のほとんどを死滅させることが出来ます。
上記条件が満たされないと芽胞を形成する一部の微生物が残ってしまったりするので殺菌不良に繋がります。
殺菌不良を起こすと以後の工程の意味をなさなくなるだけでなく培養室や発生室に雑菌を持ち込む事となり汚染の原因になるので殺菌工程は非常に重要となります。

殺菌工程は高圧殺菌で5~6時間程度・常圧殺菌で9~11時間程度を要します。
夏季冬季で培地の温度、外気温が異なるので時期によって殺菌時間を見直すことも必要でしょう。
殺菌終了後は殺菌装置から速やかに取り出し以後の放冷工程に移行します。

放冷

放冷工程では加熱殺菌した培地を菌を接種できる温度まで冷却します。
高温の培地に菌を接種してしまうと菌が死滅してしまうので20℃程度まで速やかに冷却します。
冷却施設内の空気は清浄フィルターを通した清潔な空気が適しています。
培地を冷却する際に袋の折り込み部や菌糸ビンのキャップの隙間から空気が入るので雑菌の多い室内で冷却を行うと汚染されてしまう可能性があるので注意しましょう。
加えて過剰な急冷を行うと培地が固くなり後の培養に影響が出てしまいます。
汚染の主たる原因になるカビ菌等は30~40℃程度が旺盛に繁殖するのでこの温度帯を速やかに抜ける事の出来るように冷却してください。

図5.放冷工程

接種

接種は施設・機械・作業者すべてが清潔な状態でなければなりません。
施設・器具の消毒、防塵服の着用、空気の清浄化等は全てのきのこ栽培における基本となります。


種菌ビンの取り扱いにも気を付けましょう。
種菌ビンは接種前にアルコール消毒、火炎滅菌を行いキャップを取り外したら接種終了時までビン口を下に向けて取り扱いを行います。
これは空中のカビ菌が地球の重力によって落下する為、落下してきた汚染源が種菌ビン内に入ることを防ぐ役割があります。

種菌ビンのキャップを開けたらビン内の原基部を滅菌したカギ棒等で取り除きビン口及びビン肩を火炎滅菌し接種に使用します。
接種量の目安は【850㏄ビン10ml~15ml程度】【2.5kg菌床ブロック20~40ml】程度が適正です。
接種孔に満遍なく接種する事で菌糸の成長が良好となります。

※2.5kgブロックの場合
舞茸は接種した箇所から原基形成を行う特徴があるので栽培袋の通気フィルター直下に種菌を固めて接種するようにし、接種後原基形成の為の空間を栽培袋を折りこんで作ってやる必要があります。

図6.原基形成の為の空間を作ります。(指3~4本分程度)

培養

培養室の環境条件

培養は温度20℃~25℃・湿度70~80%・二酸化炭素濃度1500ppm~2000ppm・暗黒条件下にて行います。
菌床は菌糸の蔓延と共に発熱し接種後2~3週間程度経つと3~5℃程度培地の温度が上昇します。
菌糸ビン栽培・菌床ブロック栽培いずれの場合でも菌床間で熱がこもらないように予め室内の温度を低めに設定する事が必要です。


発熱と共に菌の呼吸量も増えますので呼吸量に応じた換気が適時必要になります。
換気扇などで外気を取り込む場合、舞茸は椎茸等の他のきのこに比べ雑菌に弱いきのこですので清潔な空気を取り込めるようにしましょう。
超音波加湿器においても水垢等により雑菌の温床となりますので定期的な清掃が必要です。
また、夏季や冬季は外気を直接取り込むことによる急激な温度変化が起こるのできのこ栽培用の熱交換器などを使用して熱損失を防ぐことも重要となります。


培養室の湿度が高すぎる場合【赤水】と呼ばれる汚染水が菌床内部に発生する事があります。
しかし、室内が乾燥しすぎている場合原基(きのこの芽)の形成が正常に行われない事もあるので注意してください。

培養室内は常に清潔を心がけ培地カス等が運搬用コンテナ等に付着し培養室に運ばれることが多いのでこまめな清掃が必要です。
培養室内に培地カスなどが残るとダニやきのこバエが発生し雑菌を菌床へと運んでしまう原因になります。
また、汚染された菌床を培養室内に残置してしまうと汚染された菌床そのものが汚染源となりますので
汚染された菌床は発見し次第培養室の室外に運び処分しましょう。

芽出し

舞茸は培養後期になると原基(きのこの芽)を形成します。
培養30日~40日程度の頃には原基が形成されるので500lux程度の照明下に移動し原基が灰黒色になる様管理する。
ビン栽培の場合キャップを浮かせ保湿及び乾燥を防ぎながら原基形成を促します。
菌床ブロック栽培の場合原基が灰黒色になるまで袋カットは行わない。

図7.原基形成直後の舞茸菌糸ビン
図8.灰黒色に変化した舞茸原基

専用に芽出しの管理室を設ける場合は温度20℃湿度80~90%二酸化炭素濃度1000~1500ppmとし、光源としてブラックライトや青色LEDを使用する。
LED光は波長の関係できのこ類は光源として認識しづらいのかきのこ栽培専用のLEDが開発されている。(必ずしも青色ではない)
ブラックライトは製造が終了している所が多くLED光源が今後のスタンダードになると思われる。
現状ではブラックライトの方が原基形成及び後述する発生操作においても良品の舞茸が栽培できるので今後のLED開発に期待したい。

発生

原基が灰黒色になった頃発生室へ移動します。
発生室の環境は温度16~19℃・湿度90%以上・二酸化炭素量700~1300ppm以下照度500lux程度の環境を作ります。
晩秋の早朝に似た環境づくりが適していると言えるでしょう。
空調用のエアコンや換気風がきのこに直接当たると傘部の成長が阻害され傘が細かくなってしまうので風が原基に直接当たらないように工夫していただきたい。
原基が灰黒色になってから収穫まで品種や環境にもよりますがおおよそ7日程度で収穫となります。

菌糸ビン栽培では原基形成中にキャップを取り外して原基の成長を促進させるため特に作業は必要としない。
菌床ブロック栽培ではフィルター部をナイフ等でカットし子実体(きのこ)の成長を促す。
この時原基を傷つけないように留意する。

図9.フィルターカット直前の舞茸菌床ブロック

発生棚の構造にもよりますが、照明が適切に当たらないと傘部が淡色となるので光源が傘全体に当たる様に照明を数か所設置しましょう。(棚の各段に設置する事も有効です)

培養(芽出し)の項でも触れたブラックライトを舞茸に照射する事で傘部が黒色に変化し肉質が固くなる。この性質を利用した黒色の舞茸は非常に美味で商品価値が高いです。

一部の舞茸生産者が黒色の舞茸を生産しているので見つけたらぜひ食べ比べていただきたいです。

発生室は培養室と同様に常に清潔を保ってください。
特に後の収穫作業を伴うので培地カスや収穫されたきのこの残渣が発生室に残りやすく発生操作中の汚染源になったりきのこバエの発生に繋がるのでしっかりと取り除くことが重要です。

図10.収穫直前の舞茸

収穫

いよいよ収穫となります。
栽培品種や栽培環境にもよりますが、菌床作成から概ね45日~65日程度で収穫となります。
収穫の目安は傘裏の管孔が開く直前(又は開きかけ)がベストなタイミングです。
管孔は傘裏の胞子を飛ばすための機関で一般的なきのこのヒダに当たる部位です。
管孔が開くと肉質が軟化してしまう為開いた後に収穫するなら割り切って開く前に収穫してしまうのも一つの手かもしれません。
収穫量の目安は2.5kg菌床の場合500~650g程度・850㏄菌糸ビンの場合100~120g程度です。

収穫された舞茸はビン栽培の場合株ごと、ブロック栽培の場合パック容器に合わせてカットされた状態で販売されていることが多いです。

ブロック栽培の株も稀にそのまま箱詰めされて贈答用などで販売されているケースもあります。

舞茸の菌床は収穫後速やかに発生室から取り出します。
きのこの種類によっては2回以上収穫する物もありますが、舞茸は1回採りが基本となります。
廃菌床は害虫や雑菌が発生しやすく発生操作中の舞茸に悪影響を及ぼすので発生室に残置しないようにしましょう。

舞茸の廃菌床は特定の条件を満たせば次項にて解説する露地型菌床栽培に利用できます。

廃菌床の利用

舞茸の廃菌床にはいくつか利用方法があります。

1.菌床を粉砕し畜産動物の飼育舎の敷材として活用

2.粉砕し散水堆積を行い堆肥化

3.粉砕し散水堆積を行いカブトムシ等の昆虫飼育用の餌化

4..粉砕し田畑へそのまま漉き込む(炭素循環農法)

5.粉砕・乾燥・ペレット化によるバイオマス燃料への利用

6.追培養をし褐変化後除袋し土中に伏せこみ露地型菌床栽培への利用

栽培方法の選び方

おわりに舞茸の栽培方法の選び方を記載し終わりたいと思います。

舞茸はきのこ類の中でも雑菌に弱い部類のきのこになります。
空調施設型舞茸栽培は空調施設型菌床椎茸栽培等に比べて清浄度の高い空気を作ることが必要となります。
清浄度の高い空気を作り出すには様々なノウハウと施設作成にそれなりの金額が必要になりますのできのこ栽培を初めて行う営農希望者にはハードルが高くなりがちなので空調施設型菌床舞茸栽培ははじめの一歩としてはおすすめできません。
舞茸の菌床ブロックを作成している生産者がいる場合廃菌床を譲っていただいて一度露地型栽培を行ってみるのもいいかもしれません。
露地型栽培の場合大型のプランターを利用しても行うことが出来ます。
初めての舞茸栽培は四季を利用した露地栽培がオススメです。

最後までお読みいただき誠にありがとうございました。

図11.美味しい舞茸

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